歌物語の継承

小さな頃から歌を歌うことが大好きでした。でも父が音楽家だったこともあり、恥ずかしくて「ミュージシャンになりたい」と口に出せない子供時代を過ごしました。

 

しかし歌への思いを断ち切ることはできず、大学生の頃からライブハウスなどで歌うようになりました。やがて父も少しずつ認めてくれることとなり、父のサポートとして活動するうちプロデビューのチャンスをつかみました。

デビュー後はさまざまな経験を積み、ときに迷いを抱えながらもシンガーソングライターとしての活動を続けていたのですが、東日本大震災の直後に父が病気で倒れたことで私の生活は一変しました。

 

父の介護に追われ、自分のことは後回しにせざるを得ないもどかしい日々。
父を支援してくださる方からの「歌物語はどうするの?」という声も聞こえていました。しかし偉大な父の代わりがつとまるとは思えず、先の見えない毎日を送っていました。

あるとき、国立劇場で開催された「文化による復興支援シンポジウム in 東京」にお招きいただきました。

 

そのステージで歌われた『遠野の里の物語』。

 

父の作品を歌う遠野小学校の児童たちのひたむきな姿を目にし、無垢な歌声を耳にした瞬間、「私は何を思い悩んでいるんだ」とハッとさせられました。そして「父の後を継ごう」と決心したのです。

「歌物語」は日本の民話や伝説、歴史、戦争など幅広い題材をテーマにしています。

 

年齢や国籍に関係なくたくさんの方に聴いていただき、さらに未来に語り継がれていくよう、歌物語の火を灯し続けたいと思っています。